効率的な筋力のつけ方




「やっと、筋肉がついてきた感じがします」


月に2度通って下さる70代の女性の方がおっしゃって下さいました。


ここへお越しなるまえ、
3年ほど近所のリハビリに通っていらっしゃったのですが効果が出ず、
こちらに通い始めてから約半年、


ようやく筋力が付いてきた実感があるそうです。


とは言っても、
筋力トレーニングを積極的に進めていたわけではありません。


その代わりに、歩き方を細かくチェックさせていただきました。


歩行こそが、筋力をつける良い運動ですし、
最も有効的だと考えています。


今日は大殿筋(だいでんきん)について簡単にお話しさせて下さい。


大殿筋の筋力をつけるには、
脚の向きや角度に配慮する必要があります。




上の図は、歩いている時の骨盤や股関節、足首の運動を示しています。


歩くという動作の中でも
これだけ多くの運動が組み合わさることで、上手に筋力が発揮され、
効率的な歩行が可能になっているのです。


大殿筋を十分に働かせるためには、
骨盤の向き、足の着く位置、
膝の方向にまで意識を向ける必要があります。


私が担当している方で、
小さいときから「内股歩き」で過ごされてきた方がいらっしゃいます。


もうおひとり、


小さいときからつま先が外に向く、
「外股歩き」で過ごされてきた方がいらっしゃいます。


体重を支えるようすると、


内股の方は、股関節が閉じて常に膝が内側に向いていました。


外股の方は、常につま先が外を向いて、
骨盤も外側へ開いていました。


これでは、理想とする大殿筋の働きは望めません。


セラピーを始めたころは、お二人ともお尻のふくらみ
大殿筋(だいでんきん)に左右差があり、痩せていました。


そのため、
歩行時の骨盤の位置、足の着く位置を意識していただき、
少しずつ体重をかけていくように指導いたしました。


お二方とも最初は違和感を感じたことと思います。


もともと小さい時から、内股や外股で歩いていたので、
大殿筋を働かす機会がなかったのですから、
当然かも知れません。


それでも、
ほんの少しの変化で、
歩行時の大殿筋の働きが大きく変化をみせます。


今はお一人は杖を利用しておりますが、
もうひと方は杖無しで、きれいに歩いています。


杖で歩いていらっしゃる方もお尻が後ろに残らず、
しっかり股関節が伸ばして歩けるようになってきています。
あと一息だと思います。



どの筋肉にもそれぞれ働きやすい位置やポジションが存在します。
この位置を意識するだけで、大きな力を引き出してくれるのです!





よつばのクローバーもっと知りたい股関節痛

歩行と痛みの関係


皆さんの歩き方を診ながら、
できる限り負担が少なく、
そして個々に合った歩き方を獲得していただきたいと考えています。


「歩き方」と「股関節の痛み」は、
切り離して考えることができないからです。


まずは、下のデータをご覧下さい。


二人の女性が歩いているときの筋肉の活動を示しています。




           変形性股関節症患者                 健常者          
(破線は踵接地を示します)

Reference:Kato, Pain of Hip Osteoarthritis Physical Therapy 2006

左のグラフは、
変形性股関節症との診断を受けた方(女性 進行期 55歳)です。

右のグラフは、
健常者(女性 55歳)です。

私が注目しているの2点、

●変形性股関節症の方は、

 大腿筋膜張筋(だいたいきんまくちょうきん)の活動が
 常に高いことです。休む暇がありません。


 健康な筋肉は、適度に「収縮(=働く)」と「弛緩(=休む)」を
 繰り返すことで、硬さも痛みも作りません。


 しかし、常に「収縮」した状態では筋肉の硬さを生み、
 痛みを生じる可能性があるのです。


 筋肉の働きの問題は、
 しっかりセラピーで修正する必要があります。


もう1点、


●「中殿筋(ちゅうでんきん)」の働きが弱いことです。

 筋肉はつながっています。
 どのような運動でも筋肉が単独で働くことはありません。
 

 


 中殿筋が働くためには、他の筋肉による「安定」が必要です。

 
 その「安定」が十分に供給されていないと、
 本来働いて欲しい筋肉の働きも少なくなります。

 
 このような筋肉の働きの偏りが、筋肉の硬さ、
 そして痛みを生むのです。
 

 「安定」を供給できる筋肉の活動を学習する必要があります。
 これもセラピーの対象となります。



股関節症の患者さんはいつの間にか、
このような特徴的な歩き方を呈することで、
余計な筋肉の緊張を生み、痛みが生じやすい状況を
自ら作っていることがあるのです。


皆さんそれぞれにあった歩き方を獲得出来れば、
痛みは生じにくくなるでしょう!





よつばのクローバーもっと知りたい股関節痛!!

影響を受ける股関節


ダイアナさん、先日は遠いところお越し下さいまして
ありがとうございました。


あの日、セラピー後に歩いていただいた時には、
横揺れがほとんど消えていましたね。


よいイメージを持つことも大事なことですし、
短時間でもご自身の身体を通じて達成できた、
“成功体験”は何よりも身体に浸透いたします。


「こうすれば痛くない」

「ここを意識すれば横揺れがなくなる」

というポイントが皆さんそれぞれに必ずあるはずです。


痛みは精神的な問題とも密接に関係がありますから、
なんとか皆さんにはこの“成功体験”を通じて、
痛みのメカニズムを理解し、
解決可能であることを実感していただきたいと思っています。


さて、少し文献的考察も踏まえて、
姿勢による股関節への影響を考えてみたいと思います。


まず、下の図をご覧ください。




Reference:Neuman, An Arthritis Home Study Course 1998
このような姿勢パターンをとる方は多いと思います。


股関節を少し曲げて、骨盤を前傾(=前に傾く)させています。
腰も沿っていますね。


骨盤と大腿骨の不安定性を得るために、
無意識に身に付けた姿勢です。

(筋肉が働き方を忘れてしまったのが大本の問題なのですが…。)


このような姿勢をとると、
股関節内の靭帯や関節包は緊張し短縮します。
またそのまわりの筋肉も過剰に働くようになります。


一方、本来の立位姿勢は…


下の図をご覧ください。





股関節がしっかり伸びていますから、
股関節内にある靭帯、関節包へのストレスは少ないでしょう。


当たり前のようにみえるこの姿勢も、
実は、かなり高度な能力を必要とされる姿勢なのです。


ダイアナさんがおっしゃられるように、
この状態を維持するには、
骨盤周囲の腹筋と殿筋の活動が必要不可欠です。


これまで骨盤周囲筋の活動による
股関節が伸ばされる経験が少なかったはずですから、


股関節周りの筋肉やその他靭帯や関節包も
伸張されることで、びっくりしているかもしれません。


ここには神経も通ってますから、
伸ばされることによる痛みも多少あるはずです。


ストレッチと同じですね。


ただ股関節だけを伸ばそうとすると危険です。


前回一緒に運動したように、
骨盤周囲の筋肉が働いているのを確認しながら、
股関節が伸びていくのことを実感できれば
非常に安全で良いトレーニングです。


今回の経験はダイアナさんにとって、
今までの股関節と歩んだ生活の中でも、
大きな変化であったと思われます。


まずはゆっくり少しずつ無理のないように、
意識してみてください。


そして、これからの変化を楽しみましょう!


次回お会いできるのを楽しみにしております。




よつばのクローバーもっと知りたい股関節痛!!

ダンサーのための運動学

<お知らせ>

●以前にブログでお知らせしました「歩行教室(少人数制)」への
 参加ご希望の方からお問い合わせが続いております。
 
 まだ詳細の日時は未定でございますが、東京・世田谷区で
 場所がようやく見つかりましたので、
 もう少々お待ち下さい、近日中にご案ご内申し上げます。

 

さて、



人間の身体とは(無重力ではない限り)、
常に「安定」の基に効率的で巧みな動きが可能となります。


股関節にトラブルを抱えたダンサーの方々を診る中で、
特にこの「安定」をいかに作り出すかが、
今後のダンス生命を左右すると言っても過言ではないようです。


ダンサーの方の股関節はものすごくよく動きます。
一般に言われる、正常の可動域以上の動きがあります。


問題が出てくるのは、
重力下で同じような股関節の運動を引き出そうとするときです。


十分な安定性が身体から供給されていれば、
股関節への負担はそれ程多くはありません。


しかし、
安定性が供給されずして、可動性ばかりが先行すると、
股関節まわりの筋肉にストレスが蓄積し、
いずれ痛みとなって現れることがあります。


安定性が損なわれた上で大きな動きを作ろうとすると、
関節そのものにも負担になるのです。


安定性を供給できる筋肉は
皆さんの身体の深いところに存在します。
ゆっくりとした動きで反応する筋肉です。


この筋肉の働きを促すことができれば、
ダンスを続けたり、スポーツを継続することも可能でしょう。


その考え方と身体の使い方さえ身に付けることができれば、
安全に楽しめるのです!



「股関節痛のLE SALON GINZA plus」はこちら


旧ブログ「股関節痛は怖くないPart供廚こちらです。




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自分を知ること


ここでのセラピーを通じて、
皆さんには自分の身体がどうなっているのかを
知っていただきたいと思っています。


現在の自分の身体の様子がわからないで、
闇雲にトレーニングをしたり、無理をすると、
かえって症状を悪化させることがあります。


ある股関節の専門のドクターは、
毎日の股関節の痛みの様子を一日の歩数でチェックするように
ご指導をされているようです。


ご自身の能力を知る上では重要なことだと思っています。


わたしは皆さんには自分の姿勢や歩き方がどうなっているのかを
知っていただきたいと思っています。


その姿勢や運動の仕方によっては、
筋肉の痛みを作る原因が潜んでいることが多いからです。


もちろん鏡に映る自分の姿を見るのが、
苦手な方がいらっしゃるのも事実です。


しかし、
自分の身体の特徴を知ることが、
股関節に対して負担の少ない姿勢や歩き方を
身に付けることにつながるのです。


たとえば、


今皆さんの骨盤はどうなっていらっしゃいますか。





左の図のように、
骨盤が常に前に傾いていると、
股関節を曲げて体重を支えるようになります。


立った時にお尻が出っ張ってしまう方に多い骨盤の位置です。


こうなると、今度は太ももの付け根の筋肉が常に働きます。


内股の筋肉や太もも前面の筋肉の過剰な疲労を招き、
痛みを作りやすい状態を作り上げているのです。


この様な骨盤の位置では、脚を上げるのも大変です。
より大きな力を必要とします。


歩いていても疲労が訪れるのが早いでしょう。


写真の中央に位置する骨盤の位置が理想です。


しかし、
股関節の伸展制限(=股関節が後ろに伸びない)があると
この位置で姿勢を保つことが難しいこともあるでしょう。


それでも、少しだけ骨盤を起こしてあげられたら
股関節への負担は軽減されます。


わたしは、皆さんの骨盤の位置を常に診ています。


股関節の痛みの原因は、
「骨盤の運動機能の低下ではないか」
とまで思っているくらいです。


セラピー後もその途中でも、
皆さんに骨盤を動かしていただくのは、
股関節の痛みと最も関係のある骨盤の位置を
筋肉を働かすことで知っていただきたいからです。


ご自分の骨盤の位置関係がわからない方はいつでも聞いて下さい。
ここに痛みの原因の大事なヒントが隠れていることがあるのです。





よつばのクローバーもっと知りたい股関節痛!!