股関節痛と筋肉の痛み

 
よつばのクローバー
おはようございます!


お陰様で、股関節痛の保存療法を専門的に取り組み始め、
この3月で5年目に突入します。
これまで、多くの皆様の症状に向き合い、
より効果的な介入手法を検討してまいりました。


ここ数年の股関節学会では、
整形外科の先生方による
保存療法の効果を示した報告も聞かれるようになり、
実際に、
手術適応と診断された方たちが、
時間はかかっても、
痛みから解放され、
希望した生活を、再び取り戻すことができているのが分かります。


「股関節痛」とは、非常に奥が深いものです。


決してその原因が、
骨の変形に代表されるような、
骨格的な異常だけが扱われることなく、
人の心や感情との、結び付きも強いものです。


私が、股関節の痛みの除去に取り組み始めた1年目は、
筋肉のコリに注目した、マッサージを専門に行っておりました。





股関節まわりの、
幾重にもなるコチコチにかたまった筋肉のコリをほぐすと、
楽になられる方が多いのです。


ただ、多くの方の経過を観察し、気になっていたのは、
当然皆さん、痛みを気にされ、お越しになられるので、
筋肉をほぐして、痛みが軽減されることは、
お互いに喜ばしいことではあるのですが、
それだけでは、十分ではありません。


それまで抱えていた、筋肉の疲労を取っても、
負担になるような動き方身体の使い方まで整えてあげられなければ、
遅かれ早かれ、手術のタイミングが訪れることがあるからです。


マッサージを施すだけで、
果たして、根本解決につながっているのだろうか…。
改めて、股関節痛の病態を多面的に理解し、
治療の中身を再検討する必要があると、当時、感じていました。


結局は、
痛みを発生させるような、数か所のコリを抑え込んでも
全体を貫く軸ともいえる身体のシステムがそのままである限りは、
一時的に上手くいくだけか、
あるいは、代わりに、他の新しい問題に直面するかで、
真の解決に至るには、程遠いように思えます。


実は、コリをひとつずつを取り除いていっても、
股関節痛の本来の解決にはならないようです。
2度と、関節内外の組織に負担をかけないような、
新たな仕組みを作り上げることの方が、
根本解決につながり、身体にとって必要であると、感じています。


股関節症の方は、
膝や腰、足首や足指まで疲労を抱えています。
それらを分業的に治療しても、
全体を一貫した基軸が整っていない限り、
同じような症状を繰り返す傾向が高いからです。


皆さんの治療経験をお聞きし、観察しながら、
股関節の痛み関する捉え方も、徐々に変わってきました。


例えば、
下の報告にもあるように、
股関節症の方は、
太ももの外側の筋肉(=大腿筋膜張筋)を使って歩くという、
特徴があります。




九州看護福祉大学 教授 加藤浩(理学療法士) 



「脚の外側が痛いんです」と訪れ、筋肉をほぐしても、
その時は、痛みが軽減しても、
再び、外側に負担がこないような
歩き方姿勢、体重のかけ方をマスターできない限り、
この先もずっと、
たとえ、手術をしても、
同じような症状に悩まされることがあるとも予測されます。


日々、皆さんの症状を拝見し、
大切なことだと感じているのは、
一方的に、症状を抑え込むことにだけ目を向けるのではなく、
真の問題を解決することが優先です!
Treat the problem not the symptom!


◆こうすると股関節には負担になる。

◆こういう動作では、筋肉を過剰に使ってしまう。


股関節まわりの組織に負担になるような
使い方を改めることが、必要でしょう。
負担になるような歩き方をしてれいれば、
当然、使われる筋肉と使われない筋肉が生まれ、
筋肉には硬さ(=コリ)が現れます。



実際の痛みの治療では、
治療者側からの、単に筋肉をほぐす、緩めるばかりではなく、
最終的には、
患者さん自身で、
かたい筋肉のコリを日常場面に応じて、
使えるようになることが目標でもあります。



安心した生活を取り戻すには、
我々のアイディアを注がなくてはなりません。


ベッドに横になっていただき、愛護的な治療を行うばかりでなく、
症状や状態に合わせた皆さんの自発性も必要になってきます。
痛みをコントロールしようとする姿勢、治療への参加です。


こう申し上げてしまうと、
どこか突き放したような表現に聞こえるのかも知れませんが、
日々の日常動作、
一つ一つへの配慮や理解が
もうひと段階、上のレベルに到達するための
決め手となってくることがあるようです。


先週、お一人の方が“卒業”を迎えました。


「私、もう卒業しても良いですよね」
自信に溢れた表情です。
今後、股関節にとって何が良くて、何が負担になるのか、
ご自身の身体を通じて、上手に表現ができています。
これなら安心です。


今、診なくてはならないのは、
「症状」ではなく、「原因」です。


現在の股関節治療では、
軟骨のすり減りや筋肉の硬さ、コリ
最近では、股関節唇(軟骨の一種)損傷など、
「症状」に対する治療が多岐に溢れています。


こうした症状が生じるからには、何か「原因」があるはずです。
「原因」を突き止める努力が、「症状」の再発予防にも繋がります。


散らかり放題の部屋の一部をきれいにしたとしても、
また短時間で、元通りに戻ってしまうように、
再び、散らからないような、仕組みを作ることが必要なのです。


明日からまた、
今まで以上に気を引き締めて、
初心を忘れず、
股関節の痛みに悩む皆様の
より快適な生活を送り届けられますように
理学療法士としてできることに努力を惜しまず、
力を尽くしてまいりたいと思っております。






 ホームページはこちらから…

■4月のご予約状況をアップしました。
 御希望の方は、予約フォームからお申し込みをお願い致します。

 
にほんブログ村 病気ブログ 股関節症・股関節脱臼へ

コメント


我々は、つい目の前の「症状」に執着しがちです。
医療機関ですから、症状や病状には配慮しつつ、その方の「動き」に目を向けるべきです。
「動く」ことで組織が破綻していったわけですから、「動き」が変わらなければ、状況が変化しないですよね。
どうしてその「動き」を選択しているのか?
どこの機能を改善していけば、「動き」が変わるのか?そのためには、何を確認すればよいのか?そして、適切な方法は?考えなくてはいけない事は多々あります。
重力を上手に扱えると、体は楽に動けます。どうしたら、上手に扱えれるようになるのか?
まだまだ、分からない事が多いですが。

お返事ありがとうございました。

  • 岡西尚人
  • 2012/03/08 13:58

岡西尚人 先生、

こんにちは、佐藤です。
お世話になっております。
そうですね、以前にブログの中で、
意見交換をさせて頂いたのを覚えております。

医療もそうですが、健康・フィットネス分野においても、何か特別な新しい治療方法や画期的なエクササイズがひと際注目を集める傾向があるようです。

ただ、残念だと思うのは、
アピールする一方で、
その問題の本質に触れられないことです。

股関節治療においても、
今では内視鏡術が脚光を浴びますが、
手術をしたのにも関わらず痛みが取れず、
お越しになられる患者さんが
昨年から急激に増え続けています。

結局、問題の所在がソコではないことを、
術者、患者さん含め、客観的に評価、分析し
認識を改める必要があると、思っています。

人工股関節術は、
最後の治療手段としては期待できますが、
そうした事態に至る前にできることが
我々、理学療法士には課せられています。

薬を処方する、
手術を施行する以外の
予防的な介入にも、
もっと世の注目が向けられるべきです。

ただ、これは、おそらく、
ご本人の意識、
病気に対する気の持ち方とも関係してきますので、
非常に難しい問題でもありますね。

今後日本では、医師と理学療法士が、対等、
もしくは、
逆転することはまず起こりえませんから、

今はただ、
助けを求めお越し下さる
患者(クライアント)さんの
痛みを着実に取り除き、
運動機能の改善を目指すことだけが、
私のできる最大の役目だと思っています。

本当にそうですね、
近いうちにお会いし、
意見交換ができますのを楽しみにしております。

貴重なご意見、ありがとうございました。

  • <佐藤正裕>
  • 2012/03/07 16:07

こんにちは、ブログいつも楽しく拝見させていただいております。
以前に一度、メールさせていただいた者です。
本日、愛知県士会の学術集会があり参加してきました。今回は発表はしなかったのですが、発表演題に対していくつか質問させていただきました。
発表内容を観察すると、「出てきた症状に対する処置(運動療法)」はあっても、「症状を引き起こす原因」についての考察・推論などは欠けている印象を持ちました。
有痛性疾患に対して我々治療者側が本当に為すすべきことは、先生のブログのお話にもあるように、「効率のよい動作の獲得」にあると思います。
患者さんの体から発っせられる信号(理学所見)を基に、その原因を突き詰めていく作業が必要であると強く感じる最近です。
機会があれば、一度お会いしてお話したいと感じています。

ながながと、失礼いたしました。

  • 岡西尚人
  • 2012/03/04 15:42
トラックバック
この記事のトラックバックURL