【変形性股関節症】小ネタ@股関節学会

 

今日は股関節学会での小ネタ、

私なりの楽しみ方をご紹介します。

 

まず「学会」というと、

何か特別な、専門家以外の人は足を踏み入れることができない

と思われがちですが、

実際には様々な職種が出入りし

最近では杖をつかれた患者さんの姿も目にします。

 

股関節学会に登録していると決まって学会直前には

下の写真のような分厚い資料が送られてきます。

その中から予め興味を持った演題や発表を

ピックアックしておくと当日は効率的に回れます。

 

 

何といっても旬な情報を瞬時にキャッチできる、この学会の魅力です。

インターネットの影響からか色々な情報が蔓延しますが、

一年の総まとめ、知識の整理に大いに役立っています。

 

残念ながら今年は、保存療法に関する話題はほとんどありませんでしたが、

手術を行う医師からも「筋肉」に着目した報告が数件聞かれました。

 

手術前後での筋力の回復に関する研究や

筋肉にターゲットを絞った痛み治療の報告など

数こそ少ないですが将来性を感じさせる有意義な報告です。

 

その中のおひとり、

ある医療機関の整形外科医師とタイミング良くご挨拶できる機会に恵まれ

自己紹介を交えながらお話させて頂きました。

実はこちらの先生、手術経験豊富にも関わらず保存療法派。

患者さんが望めば手術もなさるようですが、それ以外、

診察時にはほぼ保存療法の話ばかりだそうです。

 

こういった情報交換の場がもてるのも

この学会ならではの魅力ですね。

 

また興味深い点としては、

研究に対する思いやその背景を直接確認できることです。

例えば、あるセッションの中で症例検討が行われていましたが、

「10代男性、スポーツに熱心でスポーツ中に発症した股関節痛。

CE角は20度以下の臼蓋形成不全。本人はスポーツを継続したい。

さぁあなたなるどうする??」

そんな内容の演題が壇上の先生方や会場に届けられたのですが、

ある大学病院の医師が「骨切り手術」を提案されたところ、

すかさず会場から(テレビでも有名な医師ですが)

「骨切り手術をしたら好きなスポーツも続けられなくなる、

それでも行うべきなのか?」との意見が述べられていました。

こうした展開もまさに私からすると、

両医師の担当患者を日頃拝見させて頂いているので、

患者さんの心境や告げられた治療方針の意図が理解できるようで

非常に参考になります。

 

臼蓋形成不全のセッションの中では、

「日本人の変形性股関節症の約8割は臼蓋形成不全である」と

報告された有名な専門医の口から、

臼蓋形成不全から発症する変形性股関節症には、

「骨の問題だけではなく、

性別、スポーツ、仕事などが関与する可能性がある」

後付けで報告されたことも現場でしか聞けない大きな収穫です。

 

もう一つ、

学会での楽しみ方としては外国人医師による講演です。

今回はアメリカ人医師による

前方侵入による人工関節に関する話がありましたが、

日本では前方侵入の手術は、

単に入院期間が短い、侵襲が少ないなど

のイメージが先行しがちですが、

実際にはそれ以外にも多くのメリットがあることが分かりました。

 

様々な情報も日本語というフィルターを通してしまうと、

本当の真意が伝わりにくくなりますが、

実際の現場の声を生で聞くと真意が伝わりやすくなります。

特に変形性股関節症の治療領域、やはり先進の国から学べるものは

その言語を通じて学ぶべきなのでしょう。

 

学会では、

各地の医療機関で精魂込められた作品(研究)が一度に聞ける貴重な場です。

論文では表現されなかったその裏側を読み解けるのも

研究者の本音が聞けれるのも、

この場に参加することで得られる特権でしょう。

来年は、東京・新宿で行われます。

手術を考えている方、また、

どこの病院で手術を受けようか迷っている方、

参考になる情報が聞けるかも知れません。

 

ginzaplus 佐藤正裕

 

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【変形性股関節症】第43回日本股関節学会学術集会に参加して

 

「先生、もうブログは書かなくなっちゃったんですか」

忙しさを理由にブログから遠去かり申し訳ございません。。。

 

関東の方には定期的にお目にかかれても、

地方にお住いの方には中々お会いできませんので、

せめてブログを更新する事で少しでも身近に感じて頂ければ、

とも思っています。

 

今日は先日参加した股関節学会の報告です。

記憶が新しいうちに簡単ではありますが、

まとめて記しておきます。

 

まず、私自身が興味があった内容は以下の4つ。

 

「大腿骨頭壊死症の新しい予防と治療」

「股関節鏡治療の光と影」

「ボーダーライン寛骨臼形成不全の外来診療」

「成人への橋渡しとしての小児股関節治療」

 

 

「大腿骨頭壊死症の新しい予防と治療」

 

 

まず最初の大腿骨頭壊死については、

最近上記診断名で施術を希望される方が急増しているため、

最新の治療事情について知る必要があると感じ参加させて頂きました。

 

基本的な病態についてはホームページを参照して頂き、

治療の上で大切な考えとは、

「発生」と「発症」どちらをターゲットに絞り治療を行うか、です。

一般的に壊死は発生しても無症状である事が多く、

骨頭が潰れ圧壊し始めると痛みが生じます。

今では骨壊死に対し早期治療促進を目的に最小侵襲治療が行われ、

同時に、骨壊死発生そのものを予防に治療も行われています。

 

薬物、再生医療等が利用され、

初期の段階であれば、良好な成績が各医療機関から報告されています。

しかしstageが進行した例となると現時点では厳しい状況です。

 

 

「股関節鏡治療の光と影」

 

 

日本でも急速に広がりつつ股関節鏡による検査や治療。

しかし実際の現場では成功例ばかりではなく、

症状が悪化した例が後を絶ちません。

そのため、実際に治療あたる医師の見解を改めて確認する必要があります。

 

まず全体的な治療成績の印象としては、

「寛骨臼形成不全(臼蓋形成不全)と伴う股関節唇損傷」、

「45歳以上」では成績不良が目立ち注意が呼びかけられています。

ある医療機関では50歳以上では人工関節に至る例が約20%、

と報告されていました。

 

また近年話題に上がるFAI(大腿骨寛骨臼インピンジメント)と、

寛骨臼形成不全に伴う関節唇損傷では、

損傷の程度や形態が異なる事が示されていました。

 

最後の討議までは参加しませんでしたが、

股関節鏡だけ全てを解決するのは難しく、

必ず、人工関節とセットで向き合うべきと警告されていました。

おそらくこの背景にはこの数年急増した変形性関節症患者さんに対する、

股関節鏡治療の術後成績を受けて、と思われます。

 

 

「ボーダーライン寛骨臼形成不全の外来診療」

 

 

3つ目に聴講したのはボーダーライン寛骨臼形成不全、

と称される新たな概念です。

昨年まではFAI、股関節唇損傷が注目を集めましたが、

来年以降おそらくこの言葉を耳にする事が多くなると思われます。

 

日本では変形性股関節症の大半がこの寛骨臼形成不全保有者と

理解されます。

しかしながら、同じようは骨の特徴を抱えていても、

若年で発症する人もいれば中年以降発症する人、中には、

何も症状が起こらずに亡くなられる方もいらっしゃいます。

 

教科書的に被りが浅いからとの理由で「将来人工関節なる」

といって危機感を煽ったり、

専門ではない医療者が外来診療を長期間引っ張り

症状の軽い方を進行期や末期に至らせ、

手術のできる医療機関を紹介する、

といった事態を重く受け止めています。

 

「いずれ悪くなるから手術をしましょう」

「このままだと車椅子になる」、

こうした医師の多少脅かし気味のアドバイスにも

問題を投げかけていました。

 

まだこの話題が取り上げられはじめの段階ですので

結論には至っていませんが、

ある大学病院の先生の報告が非常に印象的でした。

 

臼蓋形成不全を長期に渡り追跡調査を行った結果、

CE角20度以上のボーダーライン寛骨臼形成不全では

ほとんどの例で症状は進行せず経過良好であったとのことです。

 

 

「成人への橋渡しとしての小児股関節治療」

 

 

最後に変形性股関節症の予防という意味で外せないのが、

幼少期からの指導です。

医療機関では小児科がその役割を担いますが、

股関節痛みを生じさせない、

生涯に渡って自分の脚で歩けるかどうかは、

小さい頃からの意識付けにかかっています。

 

例えば、

臼蓋形成不全を診断されると重篤な病を背負ってしまった、

と医師から説明を受け

深刻な事態と受けとる方もいらっしゃるかも知れません。

ただ臼蓋形成不全にも先天的、後天的二つの要因があり、

また先述の長期成績のように必ずしも臼蓋形成不全があるからといって

悪化するものばかりではありません。

仕事、運動経験、生活習慣、

こうした点が症状の進行に関与していると思われます。

 

最近は小学生に上がる前のお子さんもよくご相談にみえます。

小児期の外科治療に熱心な先生では、骨切り手術を勧めます。

それでも12〜15歳まではまだ骨の成長はまだ分かりません。

その先の予測も難しいでしょう。

 

マラソンランナーの有森さんは

両股関節の脱臼をきちんと治療しその後大活躍されました。

 

 

個々それぞれ状況が違いますので、

ご自身の状態を正確に把握する努力が必要です。

 

今年はオランダでのOARSI、スペインでのBMJD、そして日本の股関節学会と

それぞれ趣向が異なる3つの学会で勉強させて頂きました。

海外の変形性関節症に対する考え方と日本での受け止め方は

丸っ切り違いますが、それはそれで非常に勉強になります。

 

置かれた状況の中でどう最前を尽くすか。

 

来年以降も学べる機会を増やしながら、

変形性股関節症への理解を深め、幅を持たせ、

症状と向き合うことで、

ひとりでも多くの方の助けになれれば、と思っております。

 

ginzaplus 佐藤正裕

 

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【変形性股関節症】日本の股関節治療の行方

 

移転をし約1年、だいぶ落ち着いてきました。

これまでのデータも整理しながら、新しいことにも着手し始めています。

 

私が股関節症の方に携わるようになって、

真っ先に調べはじめたのは「世界の動向」です。

 

日本では、どこへ行っても手術、手術。

これは、本当なのだろうか。

今年は変形性関節症の国際会議に参加してきましたが、

ここへ出席すれば答えはすぐに見つかります。

 

何も、日本のように「臼蓋形成不全」を病的に扱うこともありませんし、

痛みの原因を軟骨のすり減りや骨の変形だけではなく、

様々角度から検証しいくつもの可能性を提示します。

 

一番の問題は、こうした最先端を学ぶ場に、

日本の専門家がほとんど参加していないことです。

文書で学ぶには限界があります。

実際にその目で確認し、議論を交わし、

自分とは別の領域に声にも耳を傾ける、

これほどの価値はないでしょう。

 

日本では狭い範囲の中で、

特定の専門家を介し、答えを見つけ出そうとしています。

これは世界の常識と比べればナンセンス、

そんなに簡単なものではありません。

 

世界の専門家が辿り着いた先は、

身体への負担の少ない治療、そして確実な効果を得られる手法です。

 

人工関節を受けるには多額な費用がかかります。

個人負担は150万円〜250万円、国により異なりますが、

そこへ日本では高額医療も認められ、我々の「税金」が投入されるので、

「痛み」を鈍らせます。

しかし、この場へ参加する主要国は、これを非常事態と受け止めています。

 

簡単にメスを入れることは推奨しませんし、

それぞれの医師、理学療法士、各種専門家が、

プライドをもって、国単位で負担を減らそうと努力をしています。

 

今後の日本はどうなってしまうのでしょうか。

 

手術が容易に受けらえる環境が整ったことは、

確かに素晴らしいことですが、

その負担は若い世代に残すことになります。

 

周囲を見渡せば、

主要都市を中心に「人工関節センター」の増設、新たな建設ラッシュ。

私の住む町でも現在複数の施設ができ、新たにオープンを迎えます。

 

世界の流れとは逆行するかのように、

専門的に保存療法を提供しようとする流れは断ち切られ、

世間の意識は手術に益々傾くことになるでしょう。

 

最少侵襲による人工関節の窓口が一層広がり、

リハビリの期間は短縮し、理学療法士に出会う機会さえなくなり、

一方で、従来の手術と、手厚いリハビリを謳い文句に、

2極化の構図が予測されます。

 

患者さまにとっては、真実が伝わりにくくなる厳しい現実。

それでも、問題の本質を見抜く努力を惜しまず、

ご自身の望む治療に辿り着けることを期待しています。

 

昨年立ち上げた新たなホームページには、

股関節症治療の現状と問題点を分かりやすくまとめています。

治療選択のヒントになれば幸いです。参考書代わりにお役立て下さい。

 

ginzaplus 佐藤正裕

 

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【変形性股関節症】末期にも幅がある

 

変形性股関節症も「末期」まで辿り着ければもう安心です、

なんて書いてしまうと不思議がられるかも知れませんが、

あながち間違いではないようです。

 

ただその間も、またそれ以降も、

股関節の可動域を維持する、筋力を落とさぬ努力、

これだけは必然です。この点さえおさえられれば、

一生未手術も夢ではないでしょう。

 

ただ中には、急激に痛みが増し、

一気に進行する例も実際には存在します。

下された末期との宣告が、

本当に手術が必要なものなのかどうか、

ぜひ様々な可能性を知る専門家に相談してみましょう。

 

さて、

私は末期なんです。」

「どこの病院へ行っても手術が必要だと言われました。」

といった方が相談にみえると正直ワクワクします。

 

表現が適切ではないかも知れませんが、

整形外科的には、手術が必要と判断されても、

理学療法士の目からみれば、

まだ時期尚早といったことが頻繁にあるのです。

 

身体は、どんな刺激を待ち望んでいるのだろう、

何がきっかけで好転するのか、

まさに理学療法士としては、

これまでの経験が総動員される瞬間でもあります。

 

さて、70代の女性です。

 

変形性股関節症の末期、レントゲン上には骨嚢胞、

骨に穴が空いた状況が確認され、筋力低下が著明です。

 

 

保存療法を開始され約半年、

日常動作時の痛みはほぼ解消され、

トレッドミルでもスタスタ軽やかに。

唯一の苦手動作はしゃがみ動作、

現在は動作獲得へ向けリハビリ中です。

 

改善へのきっかけとなったのは、

どんなに痛くても杖を頻用しなかったこと、

それと活動量を落とさなかったこと。

また脚長差に対して、

適切な補高を行えたことなどが、

効果の決め手となったかも知れません。

 

現在では3か月に一回、

施術間隔も少しずつあけながら、

ご自身でのメンテナンスができるよう自信をつけていただき、

今後楽しみなのはレントゲン上の変化。

おそらく1年後くらいには(変形は進行するかも知れませんが)

骨嚢胞は消失されるでしょう!

 

末期と宣告されると手術しか方法がない、

そうお考えの医療者や患者さまが多いことでしょう。

しかし実際には、

手術などしなくて満足に近づける生活を送ることも可能です。

 

ご自身が抱える症状が本当に手術が必要かどうか、

ぜひ一度ご確認下さい。

 

ginzaplus 佐藤正裕

 

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【変形性股関節症】「進行性」とは?

 

変形性股関節症が指す「進行性」とは、

一体何を表す言葉なのでしょうか。

 

努力をしても防げないものなのか。

それとも努力の仕方や程度によっては、

進行を阻止することも可能なのでしょうか。

 

私が、進行を助長される要因の一つと考えているのは、

医療者側あるいは患者さま側に蔓延する

「安静にしなければならない」という誤った認識です。

 

それは活動量全体を下げることでもありますが、

股関節を極力使わなくする、つまり、かばうことです。

 

想像してみて下さい。

 

人間、安静にすれば筋肉は落ちます。骨も脆くなります。

血液が全身行き渡らなくなれば、当然、軟骨も痩せ細ります。

 

医療機関を受診すれば、

50代、60代の方たちへが杖をつくよう指導されてしまう世の中です。

果たしてそれで本当に楽になるのでしょうか。

一時的な快楽はあっても避けられないのは将来的な手術でしょう。

ここは皆さま自身が気を付けていないと、

数ヶ月のうちに変わり果てた姿と直面することになります。

 

先日、7年振りにお越し下さった方がいらっしゃいました。

 

股関節の痛みは軽減された様子でしたが、

歩容を改善したい、とのご希望でした。

しかし、ご本人も仰っておりましたが、当時とはまるっきり別人です。

 

股関節症特有な歩容パターン。

上下、左右に揺れ、可動域制限に伴う脚長差の存在も明らかでした。

 

触診すると股関節周囲の筋力はすっかり痩せ細り、

股関節痛は改善されたは仰っておりましたが、

跛行による腰痛に悩まされているようでした。

 

お聞きすればこの数年間、

ノルデッィクポールを使用し歩いているとのこと。

 

少しでも痛みが楽になる、

動けるようになるのであれば、どんな手法、

何を行っても基本的には良いと思っています。

 

但し、繰り返しお伝えしておきたいのは、

一時的な安静ならばまだ影響は少ないでしょうが、

長年に渡り、股関節を使わない、かばって動き過ぎてしまえば、

やがて、取り返しのつかいない事態に遭遇します。

 

「病識」という言葉があります。

変形性股関節症とはどういう病なのか。

保存療法をはじめるにあたって、

この部分を学習することが非常に大切です。

 

本来ならば、

健常者並みの歩容の獲得も無理ではなかったはずが、

ちょっとした理解の欠如から脚長差、拘縮などが生じてしまえば、

目標を低く設定せざるを得なくなります。

 

今の状態ももちろん優先すべきですが、

同時に10年後、20年後を見据えた新たなチャレンジも

課していく必要があるのでしょう。

 

ノルデッィクポールに限らず歩行補助具全般を使用する際には、

「進行」を助長することがないよう

その意味を今一度考え

「目的」をはっきりとさせておくことが大切です。

 

ginzaplus 佐藤正裕

 


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